道後ラッピングアート(道後温泉本館テント膜)

後温泉本館を覆うテント膜 (テント膜の大きさ:南北約34m × 東西約30m × 高さ約20m シートの総面積:約2,400㎡)

2021年12月、当社は国の重要文化財である「道後温泉本館」(愛媛県松山市)の保存修理後期工事において、風雨から保護するためのテント膜の印刷・設計縫製加工・納品を手掛けました。

このテント膜には日本を代表する現代美術家、大竹伸朗氏の作品「熱景/NETSU-KEI」が、自社の大型インクジェットプリンタで出力され、道後温泉の素屋根を覆い、愛媛の観光スポットとして注目を集めました。

 

~ 南側には道後のシンボルであり、繁栄を象徴した「白鷺(しらさぎ)」 ~

 

 

~ 西側は街や地図がモチーフ ~

 

 

~ 北側は「波紋、お湯のエネルギーなど、コミュニケーションをイメージ ~

 

 

~ 東側は西日本最高峰の「石鎚山」をイメージ ~

 

 

~ 屋根は森羅万象を覆う宇宙をイメージ ~

 

この作品は、水・熱・光や人々、街が生み出す様々な「エネルギー」をテーマにしています。その表現には、自家製の色紙を指でちぎる「ちぎり絵」の手法が用いられ、この手法を正確に再現するために、自社所有の大型インクジェットプリンタ(3.2m)を使用し、何度もサンプルを出力して調整しました。

最新のインクジェット技術と独自の膜加工技術を活用して、紙をちぎったときの断面や筆のハケ跡、色の重ね方など、原画の細部までの質感を忠実に再現しています。そして、これは当社が行った最大のテント制作プロジェクトであり、3D CADを使用して骨組みからデザインまでの設計図を作成し、作業時間を短縮しながら製品の精度を管理しました。

さらに、テントを張った状態での最大伸び率を計算し、出力時にパーツがずれないように最適な印刷速度を割り出しています。このプロジェクトでは、アーティスト(大竹氏)の5枚の原画を約25倍に拡大して、インクジェット出力しています。

 

~ 大型インクジェットプリンター ~

 

~ 大型膜体加工工場での加工作業風景 ~

 

 

~ 夜間作業風景 ~

 

 

 

現在、膜は解体されましたが、解体後も当社にて学校用テントとして再加工し、松山市内の私立小学校54校で有効活用される予定です。

この保存修理工事とアートの融合により、テント膜材は保護材としてだけではなく、芸術的な屋外メディアとしても活躍し、SDGsや教育活動への貢献といった新たな可能性も秘めています。